大切な家族に大きな負担を残さないために!今からできる相続準備を詳しく紹介
「大した遺産はないから、相続問題は無縁」
「まだまだ元気だし、もっと先になって考えればいいかな」
と思っていませんか?
しかし現実的には、遺産相続の準備を自分で進めておかないと、遺された家族が大きな負担を抱えることになるのです。
今から相続準備をしておくことで、家族の負担を減らすとともに、悲しいトラブルを防止できます。
本記事では、相続準備が必要な理由や、家族がお互い納得できる相続の準備についてご紹介します。
遺された家族のために。相続準備が必要な3つの理由
相続に事前の準備が必要である理由は、大きく次の3つです。
理由1.手続きが多く、家族にとって時間的・精神的に大きな負担となるから
家族の死後の手続きは、相続以外にも葬儀や法要の手配、遺品の整理など、さまざまなものがあります。
亡くなった人を悼み気持ちの整理をしつつ、調べものをしながら慣れない手続きをしていくのは、遺された家族にとって、時間的にも精神的にもかなりの負担になるでしょう。
自分の死後、さまざまな作業にあたらなくてはいけないご家族の負担をできるだけ軽減するためにも、事前にどのような資産がどこにあるのかを明らかにしておくことが大切なのです。
理由2.相続税は現金一括払いが原則。高額の場合は払えなくなる可能性があるから
相続税は、現金一括払いが原則 [*1]なのをご存じでしょうか。
相続されるのは、現金だけでなく不動産なども含まれます。相続した資産によっては相続税を支払うだけの十分なお金が用意できず、相続税の支払いが苦しくなることも。
中には相続税が2,000万円以上になってしまい、貯金と退職金を合わせて、なんとか工面したというケースもあります。
事前の準備や話し合いができていない場合は、遺された家族が突然の出費に苦しむ恐れもあるのです。
理由3.相続が家族間のトラブルにつながることがあるから
親が亡くなった際、遺言書などがない場合は、法律にのっとって遺産の配分が決まります。
しかし、いくら法律にのっとって配分を決めても、状況によっては不満を感じる人がいたり、家族同士のトラブルにつながったりすることもあります。
トラブルになりやすいのは、次のようなケースです。
- どのような財産がどこにどれだけあるのか、はっきりわからない
- 財産が自宅のみなので、分けにくい
- 亡くなった人の老後の世話を、特定の家族だけが担っていた
- 相続税が多すぎて、誰も払えそうにない
- 突然、家族の知らない相続人が現れた
このようなトラブルを防ぐためには、「遺言状」など、事前の準備が不可欠です。
遺言状は正しく書かないと無効になるため、正しく書く必要があります。(詳しくは後述)
[*1] 出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm)
生前から始めて家族の負担を軽減!今からできる相続準備
生前から相続準備を始めておくことで、遺された家族の負担をかなり軽減できます。
では、具体的にはどんな準備をしておけばよいのでしょうか。
自分の財産を全て把握し、整理しておく
まずは自分が保有している財産を調べて、亡くなったら何が・いくら残るのかを整理しましょう。
財産を把握し整理する理由は、相続税を計算するためだけではありません。
そもそも家族に遺せる財産があるのか、あるとしたらどのように財産を分配するのか、について考えるうえでも、財産がどれくらいあるのか調べて把握しておく必要があるのです。
「自分の財産なんてたいしたことない」と思っていても、実際に調べてみたところ、保険金や不動産など、現金以外で保有している財産も含めると思いのほか多かった、というケースもあります。
一方、借金なども相続されるものに含まれるので、マイナスも含めて全ての財産を把握し、整理しておきましょう。
法律上の相続関係を把握する
自分の財産がどのくらいあるのか把握できたら、次は自分の相続人が誰になるのかを考える必要があります。
その際、まずは法律で決められた相続人(法定相続人)が誰なのかを調べましょう。
法定相続人は、「亡くなった人の配偶者は常に相続人となる」「配偶者以外の人は、配偶者と一緒に相続人になり順位が決められている」というように民法で定められています。
把握した財産と照らし合わせて、法律的には誰にいくらぐらい配分されるのか、相続税はかかるのかなどを把握しておきましょう。
きちんと把握しておくことで、「法律上は権利がないが、ずっと自分の面倒を見てくれた〇〇さんにもいくらか遺したい」という場合の対策も進められます。
自分の考えを伝え、家族と話し合う
ある程度相続について整理ができたら、自分の考えを家族に伝えたり、家族の意向を聞いて話し合っておいたりすることが大切です。
土地や不動産は、子どもの住んでいる場所が遠く離れているなど、事情によってはそのままもらうよりも金融資産に換えておいてほしいと思われる場合も。
例えば、土地を相続する場合、以下の方法などもあります。
- 売却して現金に換えて分ける
- 他の相続人よりも多く相続した人が、差額分をお金や物で補填する
- 生命保険を利用して不公平になっている分を調整する
あらかじめ自分の考えを伝えて家族でしっかりと話し合っておくことで、お互い納得できる相続になり、トラブルになることもありません。
わからないことは専門家に相談する
税金や相続関係についてわからないことは、弁護士などの専門家に相談してみるのが一番です。
ここまでに整理した内容や、相続について考えていることを伝えながら、具体的な対策を教えてもらいましょう。
例えば、節税のために生前贈与がよいと聞き、自分もそうしようと考えたとしても、方法を間違えると多額の贈与税を負担することになる場合もあります。
また、贈与税の申告書を税務署に提出したり、贈与契約書を作成したりしておくなど、生前贈与の証明を用意しておかなければなりません。
相続対策で失敗しないためにも、専門家に相談してみましょう。
遺言書を作成する
相続をスムーズに終わらせるために一番効果があるのは、遺言書の作成です。
整理した内容をもとに、遺言書を作成しておきましょう。
遺言書で意志を伝えることで、自分の意志に沿うように財産が分けられます。
ただし、遺言書は書き方を誤ると無効になり、もめる原因になることもあるため、正しい方法を調べて書くことが重要です。
例えば、パソコンで書いたもの、レコーダーなどに録音されたもの、押印や日付、署名がないものなど、いくら自筆で書いた遺言状でも、無効とされるものもあるので、注意が必要です。[*2]
また、遺言書は一度書いたら書き直せない、というものではなく、何度でも書き直せます。
家族構成や残せる財産に変化があった場合など、定期的に確認し、必要に応じてアップデートしていきましょう。
[*2]出典:法務省ウェブサイト (https://www.moj.go.jp/MINJI/03.html)
まとめ
何も準備されていないままの相続は、遺された家族に大きな負担がのしかかってしまいます。
しかし、生前から少しずつ自分の財産を整理し、家族と話し合うことで、みんなが納得できるスムーズな相続につながるでしょう。
相続について考えることは、自分の今後の生き方をみつめ直し、家族の幸せな未来を守ることにつながります。
この機会に、今後のライフプランを含め、お金について一度整理してみませんか。