がんを取り巻く環境をみると、がんを経験した若い世代特有の悩みや、がん治療と仕事の両立など、新たな課題が生まれています。当社は、日本で最も長くがんとともに歩んできた保険会社としての強みを活かし、がんにかかわる社会的課題を包括的に解決するべく、以下の3つの分野に取り組んでいます。
[*1]AYA世代:思春期・若年成人(一般的に15歳から39歳)を指し、AYAはAdolescent and Young Adultの略。特にがん医療において用いられる言葉
本記事では、小児がん・AYA世代支援における「ペアレンツハウス」「がん遺児奨学基金」の二つの活動についてご紹介いたします。
「アフラック小児がん経験者・がん遺児奨学金制度」は、小児がんを経験した子どもと親をがんで亡くした子どもの夢を応援する奨学金制度です。
本制度は、高校生を対象とした返還不要の奨学金制度です。他の奨学金制度との併用が可能で、アフラックの保険契約の有無にかかわらず応募いただけます。返還不要の奨学金を高校卒業まで給付し、小児がんを経験した子どもたちや親をがんで亡くした子どもたちの就学や進学をサポートしています。
これまでの奨学生数は3,300名を超え、累計給付金額は20億円を超えており、(2022年6月末時点)。給付された奨学金は、将来の進学費用をはじめ、子どもたちとの将来のため大切に使われています。
本制度は、親をがんで亡くし家庭が経済的に困難な状況に陥ったために、自らの進路を変えざるを得ない子供たちがいる現実から、1995年にアフラックと「アフラック全国アソシエイツ会」が共同で設立しました。
その後、2014年に小児がんを経験した高校生を新たに奨学生の対象に加え、制度名も「アフラック小児がん経験者・がん遺児奨学金制度」として新たにスタートしました。
現在では7~8割の子どもたちが治療を終えることができるようになりましたが、多くの子どもたちが、治療後の復学・就労の問題や後遺症などによる障害を抱えて生活しています。
進学や就職、結婚、出産、育児など、成長に伴うライフステージの変化の度に何かしらの課題が生じ、それに対応した理解や支援も必要となることから対象に加えられました。
アフラックペアレンツハウスは、小児がんなどの難病の子どもとそのご家族のための総合支援センターです。
当施設は、小児がんなどの難病のために、自宅から離れた病院で治療を受ける子どもとそのご家族が、1泊1,000円(患児は無料)で宿泊できる施設です。館内は、利用者が自宅のようにくつろげるように、プレイルームやダイニングキッチン、洗濯機などを完備しています。患児の治療中は期間の制限なく滞在できます。
宿泊施設としての機能だけではなく、専門のカウンセラーが相談に応じるなど、付き添うご家族の経済的、精神的な負担を軽減するため、多岐にわたるサポートを行っています。
ペアレンツハウスは2001年に東京都江東区に設立され、現在は東京と大阪に計3棟あります。これまでの利用人数は、海外からの利用も含めて延べ14万人以上、1万家族を超えています(2022年6月末時点)。
利用者の半数以上が小児がん患児とそのご家族となり、患児の治療期間中は日数の制限なく利用が可能で、利用は日帰りから年単位までさまざまです。
当施設は、子ども特有の小児がんは、大人のがんと比較して発生率が少ないことから専門医が少なく、治療を受けることができる病院は大都市圏に集中しているという課題から、「小児がんと闘う子どもだけでなく、そのご家族の課題も解決したい」との想いで設立されました。
小児がん治療によりご家族が抱える負担には、治療費に加えて病院通いに伴う交通費や宿泊費などの「経済的負担」、病院と自宅の往復や慣れない土地での不自由な生活に伴う「肉体的負担」があります。
そして、何より大きいのは、子どもの病気や治療に対する不安や悩み、慣れない土地での不自由な生活への孤独感などの「精神的負担」です。付き添うご家族の存在こそが、病気と闘う子どもを支えると考えています。
いかがでしたでしょうか。本記事では小児がん・AYA世代支援における二つの活動についてご紹介させていただきました。
小児がんは、症例が少ないために治療研究が進まないことや、晩期合併症を抱えながらその後の生活を送らなければならないことなど、大人のがんとは異なる課題があります。
また、小児がんと中高年のがんとの狭間に位置するAYA世代のがんは、これまで注目される機会が少なく、情報や支援が十分とはいえません。
当社では、こうした小児がん経験者やAYA世代のがん経験者が笑顔で暮らせる社会を目指し、これからも啓発活動や各種団体への支援を行っていきます。