日本人の死因で、がんの次に多いのが心疾患であり、令和3年の人口動態統計[*1]によると、死亡総数に占める割合は14.9%にもなります。
また、心疾患の一種である急性心筋梗塞は、生活習慣が大きく関わる病気のひとつとされています。もしかすると、今の生活習慣が知らず知らずのうちに心筋梗塞のリスクを高めているかもしれません。
そこで本記事では、心筋梗塞が起こるメカニズムを説明するとともに、心筋梗塞を起こしやすい人の特徴と予防につながる生活習慣をご紹介します。
[*1] 出典:「令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況 第6表 性別にみた死因順位(第10位まで)別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei21/index.html)
心筋梗塞は、動脈硬化によって心臓の血管に血栓(血液の固まり)ができて血管が詰まり、血液が流れなくなって心筋の細胞が壊れてしまう病気です。
動脈硬化とは、血管が硬くなり弾力性が失われた状態をいいます。動脈硬化が進むと血管壁が厚くなり血管が狭くなるため、血流も悪くなります。
そのため動脈硬化を引き起こさない生活を心がけることが、心筋梗塞のリスクを下げることにつながるのです。
心筋梗塞になりやすい人として、以下のようなタイプがあげられています。
□責任感が強い
□がんばり屋で負けず嫌いな性格だ
□のんびり屋というよりせっかちな性格だ
もちろん、このタイプの方すべてが心筋梗塞を発症するわけではありません。ただ心筋梗塞の発症の引き金としてストレスの影響も大きいと考えられています。性格的にこのような傾向があり、ストレスを感じているという方は、ストレスをためないような生活を心がけることが大切です。
心筋梗塞の直接的な原因である動脈硬化は、毎日の生活習慣とも大きな関連があります。以下のような生活を送っている方は注意が必要です。
□濃い味付けの食事を好む
□食事時間が短い、早食いである
□毎食、満腹になるまで食べてしまう
□喫煙の習慣がある
□毎日のようにお酒を飲む
□日々忙しく、不規則な生活を送っている
□睡眠時間が短い
□日頃、ほとんど運動していない
チェックが多い場合、肥満や高血圧、高めの血糖値などの症状がでやすくなります。こうした症状がある方は、心筋梗塞のリスクが高いといわれています。
階段を上がると息が切れるとか、胸の痛みを感じることがあるなど、すでに何らかの症状がある方はもちろん、今は大丈夫という方も、ぜひ次に紹介する予防方法をお読みください。
生活習慣を改善することは、心筋梗塞を予防するだけでなく、健康寿命を延ばすことにもつながります。ぜひ、今日から実践してください。
1) 塩分を控える
塩分が多い食事は、高血圧につながります。血圧が高い状態が続くと、血管の壁はその圧力に耐えようと厚く硬くなってしまいます。だからこそ、塩分を控える必要があるのです。
麺類のスープを飲み干さない、追加の調味料を減らすなどのことから始めてみましょう。
2) 炭水化物の摂りすぎを控える
糖分の多い食事が続き血液中の糖分の濃度が上がることで、血管の壁が硬くなります。糖分というと甘い食べ物を思い浮かべる方も多いと思いますが、炭水化物にも含まれています。
まずはご飯や麺類の大盛りやおかわりをやめることから始めてみましょう。
3) 肉よりも魚を食べる
魚に含まれるDHAやEPAは、心臓の健康によいといわれています。また、魚をたくさん食べることで心筋梗塞のリスクを減らすという研究結果が各国で発表されています。
主食に肉が多いという方は、魚を食べる頻度を増やしてみましょう。
運動不足は、動脈硬化の危険因子になるといわれています。そうはいっても本格的な運動を習慣化するのは、なかなか難しいもの。日常生活で今すぐ取り入れられる運動習慣をご紹介します。
・歩くときは背筋を伸ばす
・なるべく大股で歩く
・腕を自然に振って歩く
・早歩きを心がける
・エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う
まずは、こうした日々の生活の改善から始めましょう。体が慣れてくれば、ウォーキングやスポーツを行うなど徐々に強度をあげていくと、さらに効果的です。
前述したように、ストレスも心筋梗塞の原因とされています。さまざまなデータベースからもストレスと心筋梗塞の因果関係が明らかになっているそうです。ストレス軽減のために、以下のような点も意識してみましょう。
・睡眠を十分とる
・深呼吸をする
・家族や友人との時間を増やす
・予定を詰め込まないようにする
・1日の終わりは楽しいことを考える
ストレスの解消法は人によって異なります。ご自身にあった方法で、ストレスをためない生活を心がけてください。
急性心筋梗塞は、ストレスをためないことや生活習慣を改善することで、リスクを減らすことができます。
食事や運動など、今回ご紹介した予防方法をできることから実践し、健康な生活をお送りください。