「うちの親はまだ元気だから、介護なんてまだ先の話かな」
そう思っていませんか?
しかし、介護はある日突然やってきます。
仕事や育児などでも精一杯なのに、そこに介護が重なった生活は想像以上に大変です。
今、介護による離職者も増えていますが、決して他人ごとではありません。
本記事では、親が元気なうちに確認しておきたいチェックポイントをお伝えします。
総務省「令和3年社会生活基本調査」によると、50~59歳の「人口に占める介護者の割合」は、10.9%。およそ9人に1人が介護をしていることになります。[*1]
50代といえば働き盛り世代の介護者も多く、企業において管理職として活躍する方や職責の重い仕事に従事する方も少なくないのではないでしょうか。
介護は育児と異なり、心の準備もないままある日突然始まることもあり、介護を行う期間・対策も多種多様です。介護をする人の状況によっては、仕事と介護の両立が困難となることもあります。
[*1]総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」より
親が元気でいるうちは、「介護が必要になったらどうするか」について、親子間でもなかなか切り出しにくいものです。
そこで、まずは親御さんに介護保険の保険証が届いたときや、自分自身が介護保険料を納付し始めたとき、あるいは友人から「親の介護が必要になった」などと聞くようになったタイミングで、介護について話し合ってみてはいかがでしょうか。
「まだまだうちの親は元気だから」と思っていても、突然一人暮らしをしている親が倒れた場合、かかりつけの病院や飲んでいる薬、お金の管理などを本人に確認できず困ることもあります。
ぜひ元気なうちに親子で話し合っておきましょう。
とはいえ、突然、介護についての話題を切り出すと、親御さんもおどろいて身構えてしまうかもしれません。
まずはお互い話しやすい、趣味・嗜好についてから始め、親御さん自身が老後に対してどのような考えを持っているのかを確認します。
その後、地域との繋がりや健康面、経済状況などについて聞いていくと、スムーズに話を進めやすいでしょう。
次の章では、親が元気なうちに確認しておくべきチェックポイントをご紹介します。
突然介護に直面しても困らないために、厚生労働省は介護への事前準備の一環として、「親が元気なうちから把握しておくべきこと」というチェックリストをまとめています。[*2]
その中から、いくつかをご紹介します。
親の趣味や嗜好を知っておくと、介護が必要になった際、寄り添ったサポートをするのに役立ちます。
病気や認知症などで、ご本人に代わってご家族がなんらかの判断をする場合も、事前に聞いていた情報をもとに、ご本人の楽しみや希望を取り入れた生活が可能になるからです。
例えば、趣味が園芸だった場合、室内を植物や花で飾って、一緒に世話や鑑賞を楽しめますね。
好きな音楽をかけることで、介護される親側もリフレッシュしたり、穏やかな気持ちになれたりするでしょう。
どんなサポートをすれば本人が快適なのかを知ることで、家族以外のヘルパーさんなども介護しやすくなります。
老後の生き方に対し、親御さんはどのような考えや希望を持っているかについて、聞いておきましょう。
などを聞いておくと、体調などにより自分で決められないような場合でも、家族がご本人の希望に沿った判断をすることができます。
親子で離れて住んでいる場合、地域の人々の見守りや気づきが大きな助けになることも少なくありません。
いざというときに連絡が取りやすいよう、親の近所の友人や地域の活動仲間も把握しておきましょう。
「なにかあれば、ここに連絡するとよい」と、誰が見てもすぐにわかるように、以下のような連絡先リストを作っておくのもおすすめです。
親御さんの食事のとり方や食べ物の好き嫌い、耳の聞こえ方、物忘れの傾向、服用している薬などを確認しましょう。
現在の行動や健康面について把握しておくことで、介護が必要になった際に適切な対応が可能です。
以下の基本情報を記録して、連絡先リストと一緒に保管しておきます。
介護が必要になると、親の生活環境をどうするかやお金の問題について、避けては通れません。
親が元気なうちに、一人で生活できなくなったときは誰に支援してもらいたいかの希望を聞いたり、生活費や財産、大切な書類の保管場所を確認したりしておきましょう。
いざ介護が必要になった際にどのように親を支援していくか、親がどのような介護サービスを受けるかなどについて判断しやすくなります。
お金については、聞きにくいかもしれませんが、早いうちに聞いておくようにしましょう。
[*2]厚生労働省「「親が元気なうちから把握しておくべきこと」チェックリスト」をもとにアフラック生命保険株式会社作成
親の介護については、兄弟姉妹間・夫婦間などでさまざまな意見が出ることが予想されます。
親の状況を把握する際に、ご本人に希望を聞いておき、兄弟姉妹間・夫婦間などで話し合いましょう。
介護をする際は、兄弟姉妹間・夫婦間などで分担し、1人に負担が集中しないようにすることが大切です。
また、実際に介護に直面した場合、地域包括支援センターに連絡すれば、介護認定の申請手続きや介護支援サービスに関する情報を入手することができます。
市町村によっては独自の介護支援サービス(福祉器具のレンタルやおむつの支給など)を提供していることがありますので、必要に応じて活用するとよいでしょう。
介護は突然始まり、いつ終わるかわかりません。
そして、介護は1人で抱えられるものではなく、チームで支え合うものです。
親が元気なうちに情報を共有しておくことで、いざというときにあわてず、落ち着いて対応できますよ。
親の介護について、今回お伝えしたチェックポイントを参考にしながら、少しずつ確認してみてはいかがでしょうか。