若い頃は、少し運動量を増やしたり食事量を減らしたりするだけでやせることができたのに、年齢とともにやせにくくなってきたと感じていませんか?
実はそのお悩み、気のせいではありません。加齢とともに体は変化しているため、若いころと同じダイエット法ではやせられないどころか、同じ生活を続けているだけで太ってしまうこともあります。さらに50代以降は「内臓脂肪の蓄積」との戦いも始まります。
この記事では、加齢とともにやせにくく太りやすくなる原因と、50代以上に最適なダイエット方法をご紹介します。
年齢を重ねるにつれ、やせにくいだけでなく太りやすくなる主な理由は、大きく2つあります。
年齢を重ねると、筋肉を構成する筋線維が萎縮したり筋線維数が減少したりします。また、年齢とともに運動量が減る方は多く、それも筋肉量が低下してしまう原因の1つです。さらに、コロナ禍で日常生活の活動量も減少しているという方は、筋肉量の減少に拍車がかかっている可能性も考えられます。
では、なぜ筋肉量が減ることが「やせにくくなる」ことに関係するのでしょうか。それは、代謝量が減るからです。筋肉と脂肪組織を比べた場合、筋肉の代謝量は脂肪組織の数倍あります[*1]。代謝量とは、消費されるエネルギーの量のこと。つまり筋肉が多いほど、消費されるエネルギーが多くなるということです。
以下の表でもわかるとおり、男性も女性も50歳以降は基礎代謝量の減少がみられます。
基礎代謝が減ると普段の生活で消費されるエネルギーが少なくなってしまいます。若いころと同じ生活をしていても消費カロリーが減り、やせにくく太りやすい体になってしまうのです。
[*1]厚生労働省e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」より
[*2]日本人の食事摂取基準(2020 年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書(厚生労働省) 参考資料P74表5「参照体重における基礎代謝量」より
脂肪には「皮下脂肪」と「内臓脂肪」があるといわれています。ご存じの方も多いと思いますが、腸のまわりにつく内臓脂肪は、過剰に増えることで生活習慣病になりやすいといわれる、やっかいな脂肪でもあります。
男性はもともと内臓脂肪がつきやすい傾向にあります。では女性は大丈夫なのかというと、そうではありません。実は更年期に入り女性ホルモンが減少すると、女性も内臓脂肪がつきやすくなってしまうのです。
50代以降の体は、筋肉量や基礎代謝の低下、蓄積しやすい内臓脂肪により、太りやすい傾向にあります。一体、どのようなダイエットが効果的なのでしょうか。50代以降におすすめしたい、ダイエットの3つのポイントをご紹介します。
筋肉量が減って代謝が落ちていることが考えられるため、まずは「筋肉量を維持する」ことを考えましょう。無理な食事制限は筋肉を減らすことに繋がり、運動不足と重なると余計にやせにくい体になってしまう可能性があるので注意が必要です。
【筋肉量を維持するための運動や生活習慣の例】
・スクワットなど、下肢の大きな筋肉を鍛える筋力トレーニングを行う
・歯を磨きながらつま先を上げ下げする、テレビをみながら腹筋をするなど、日常生活の中に筋力トレーニングを取り入れる
筋肉量を維持するためには、筋力トレーニングを継続することが重要です。運動や生活習慣の例を参考に、無理なく取り入れられる方法を実践してください。
内臓脂肪を減らすためには、筋力トレーニングで筋肉を維持すると同時に、有酸素運動で内臓脂肪そのものにアプローチすることも必要です。
【内臓脂肪を減らすための有酸素運動の例】
・ウォーキングやジョギング
・腰や膝への負担が少ないスイミング
頻度は週3~5回、1回あたり30~60分を目安にするとよいといわれています。運動量が多いほど内臓脂肪は減少しやすいですが、運動量が少ないからといって内臓脂肪が減少しない[*3]というわけではありません。可能な範囲で運動し、慣れてくれば徐々に運動量を増やしていくことをおすすめします。
[*3]厚生労働省e-ヘルスネット「内臓脂肪減少のための運動」より
筋肉量の維持と内臓脂肪を減らすためには、脂質をおさえ、たんぱく質をしっかりと摂取することが重要だといわれています。
50~64歳の1日のたんぱく質摂取の目標量(身体活動レベルが普通の場合)は、男性が90g前後、女性が70g前後です。食品に含まれるたんぱく質の量は、ささみなら100gあたり約24g、ゆで卵なら1個あたり約6.2gです。
意外に少ないと感じた方も多いのではないでしょうか。たんぱく質の目標量を摂取できるよう意識してみてください。
また、食事で内臓脂肪の減少を意識したい場合は、以下のことにも注意すると良いでしょう 。
・脂質をとる場合は、魚などに含まれるオメガ3を摂取する
・カロリー過多になりやすいため、アルコールをなるべく控える
・満腹感を得て食事量を減らすため、ゆっくりとかんで食べる(最低でも15分以上かける)
[*4]日本人の食事摂取基準(2020 年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書(厚生労働省) 参考資料P116表8「身体活動レベル別に見たたんぱく質の目標量」より抜粋
加齢とともにやせにくくなるのは、誰にも起こる体の変化が原因です。若いころと同じダイエットで結果が出せなかったからといって諦めずに、コツコツ積み重ねが大切です。
できることから実践し、健康な体を手に入れてくださいね。